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個人情報への過剰反応
 国民生活センターが「最近の個人情報相談事例にみる動向と問題点-法へのいわゆる「過剰反応」を含めて-」というリポートを発表しました。

 その中で大きく取り上げられているのは過剰反応による不都合のケース。考えさせられる具体例が多く、不必要に世の中を混乱させています。
 例えば
■駅でケガをしたが、鉄道会社が「加害者に関する個人情報」は教えられないと原因となった相手と話ができない。

(鉄道会社は相談者への相手方(加害者)の個人情報の提供を、「本人の同意ない第三者への個人情報の提供」と捉え、個人情報保護法第23条に則った対応していると考えられる。ただ、同法では、全ての場合において、本人の同意のなく個人情報を第三者へ提供することを禁じているわけではなく、例えば「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難なとき」(法第23条第1項第2号)には、本人の同意なく第三者へ個人情報を提供できるとしている。しかし、同意を必要としない状況かどうかの判断は難しく、結局、法律違反となるリスクを負うよりも、個人情報の提供を行なわないという対応につながっている。
法律の遵守と円滑な事故処理の狭間で「個人情報保護法によりできない」との回答がなされがちであり、個人情報保護法の「過剰反応」ではないかとの批判も生まれている。)

■保育園等での写真の販売や卒園アルバム作成を自主的に取りやめたり、反対者の主張により実施できなくなっている。

(写真やビデオ等の映像が個人情報に該当するかについては見解が分かれるところではあるが、結果的に本人の同意(判断能力が未成熟な園児や児童の場合、本人の同意だけでは第三者提供できないため、保護者の同意が必要になる)なく、写真を第三者(他の幼児や幼児の親等)へ提供することを懸念していると思われる。いずれの事例の場合も、園児らの保護者が第三者提供に同意した場合には第三者提供違反とはならないため、保護者の全員の同意があれば、写真の販売や提供も可能である。しかし、保護者から「個人情報保護法上、問題ではないか」との指摘があると、全員の同意が得られないと判断し、ここでも当該活動を実施しない方向で対応されがちである。学校教育の現場においても同様に、電話連絡網が作成されなかったり、極力省略される状況にある。)

■クラス全員の連絡先がない連絡網、同窓会名簿、連絡不明者の取扱い、町内会名簿の作成などなど

(同窓会名簿を配付するにあたっては、同窓会が個人情報取扱事業者であれば、個々の会員の事前の同意かオプトアウト(本人からの申し出により個人データの第三者提供を停止すること)の仕組みが必要であり、そうでなければ氏名を含め個人情報の掲載を強いることはできない。したがって、名簿の掲載を拒否した者の名前を掲載することは個人情報保護法に抵触する行為になる。その一方で、現実的には同窓会の規模が大きくなるほど全ての会員からの同意の取得が難しいことや、同意のある者だけにすると名簿に個人情報を掲載する会員が減り、名簿が「虫食い」になってしまう。これでは本来の同窓会名簿としての目的が十分に達せないとのジレンマを抱えている。これまで機能してきた連絡先不明者についての情報提供についても、ホームページや同窓会誌等に「氏名と卒業年度」という特定の個人を識別できる情報の掲載は、個人情報保護法上、第三者提供となるため、やはり事前の同意かオプトアウトの仕組み(形式的なものではなく、実質的に本人がそれを知る機会があることが望ましい)が必要となる。個人情報保護法は、名簿の作成や配付を禁止する法律ではないが、やはり、施行前に比べ、施行後は各種名簿の作成や配布が困難になっている。特に、自主運営団体である自治会や町内会は、参考にすべきガイドラインや団体が直接相談できる専門窓口がないため、不安や戸惑いの声が多く寄せられているものと思われる。これまで特段意識されていなかったが、本来の活動の趣旨等に応じた必要最小限の名簿の作成や管理に対する認識の共有が、団体の運営事務局だけでなく会員個々人にも求められる時代になってきている。各団体でどのように個人情報を取り扱っていくのか、会員間での合意と工夫が必要である。)

「まとめと課題」という項目では2点述べられています。
①「過剰反応に際し明確な解釈基準や、提供の必要性等についての理解が必要。」

 これまで社会に定着してきた名簿や連絡網等、あるいは緊急医療等における個人情報の提供が形式的な法律の解釈や運用の下で存在できなくなったり、不可能になることは、個人情報保護法の本来の趣旨にそったものとは言えない。

 法律違反となるリスクを負うよりも個人情報の提供を一切行なわないという対応や、十分な検討や工夫を講じないまま個人情報保護法を理由に従来の活動を止めてしまうという対応が一般化している傾向がある。
現在、法律が施行されて間もないため、法解釈が確立されておらず手探りの状況であるが、今後、第三者提供の例外規定を含め個別の具体的な対応について、一つひとつ事例を積み上げるとともに、解釈基準の明確化を通して広く社会のコンセンサスを得ていく努力が不可欠である。

②「消費者の信頼獲得のため、トレーサビリティーとオプトアウトが求められる。」

 個人情報をビジネスに広く利用しようとする事業者の活動や自治会や同窓会等による名簿の作成等の活動の維持が困難になってきた背景には、消費者の事業者等に対する個人情報の取扱いに対する不信感があることは否めない。法の「個人情報の有用性と保護」に関する考え方を実現するためには、個人情報の適正な取扱いに対する消費者の信頼性を高める必要がある。

 市販の名簿を使ったビジネスの展開には、入手元の開示など個人情報のトレーサビリティーの確保に配慮する取組みが十分なされていないのが現状である。「どこから私の情報を入手したのか」という問合せや開示請求に対して「回答する法的義務はない」とする紋切り型の対応が、消費者の不信感を一層高めることにつながっている。

 さらに、事業者が取得した個人情報を第三者に提供するに当たって事前の同意が取れていない場合は、オプトアウト(本人からの申し出により個人データの第三者提供を停止すること)の規定があることを明確にし、その事を積極的に知らせていく努力も必要である。せっかく消費者側に拒否権が与えられていても、そのことを消費者が知らなければ意味を持たない。ホームページ等での公表だけでは、それに触れる機会のない消費者も少なくないので、より多くの手段で周知徹底を図るべきであろう。

 法律やガイドラインを形式的に遵守しているからよいと個人情報の保護に対し機械的に対応するのではなく、「個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する」との法の目的を達成していくには、消費者の信頼を獲得(回復)するための事業者自らによる積極的な取組みが一層求められる。
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テーマ:経済 - ジャンル:政治・経済

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国民生活センターが「最近の個人情報相談事例にみる動向と問題点-法へのいわゆる「過
2005/11/09(水) 20:24:41 | 個人情報対策室