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インターネットによる調査について
 労働政策研究・研修機構の情報管理課長 本多則惠さんが『インターネット調査は社会調査に利用できるか―実験調査による検証結果』という報告書を発表しました。

 比較的、安価にできるリサーチ手段としてインターネット調査は注目されています。しかし、聞き取りなどによる調査と同様な結果になるのだろうか?という疑問もあると思います。
 その辺りにも答えた内容ですので一部の内容をご紹介します。

『Q:「インターネット調査」とは?
A:インターネット調査にはいろいろな種類がありますが、今回の研究では「調査会社が募集した回答モニターが、調査会社からの依頼に応じてインターネット上で調査に回答する」タイプの調査法(公募モニター型)を中心に検討しました。このタイプには「誰でもモニターに登録できる」「調査に回答すると謝礼がもらえる」という特徴があります。

Q:インターネット調査法について研究した訳は?
A:社会調査では従来から訪問(面接/留置)調査法や郵送調査法が一般的ですが、どちらもかなりの費用と時間がかかりますし、徐々に回収率が低下しているという問題もあります。一方インターネット調査は「安く」「早く」実施できるので、社会調査で利用できればメリットが大きいのですが、モニターを使うなど従来型調査とは異質な面があるため、社会調査に適しているのかどうかについて、今回の研究で判断材料を得ようとしたものです。

Q:実験調査の内容と、その結果は?
A:当機構が以前に訪問面接調査法(調査対象者は住民基本台帳から無作為抽出)により実施した「勤労生活調査」と同じ質問を、モニター型インターネット調査4種類(うち3種は公募モニター、1種は非公募モニター)とモニター型郵送調査1種類(モニターは公募・非公募の混合)、計5種類の調査で同時に質問しました。
大まかに見ると5種の実験調査の結果はよく似ていました。訪問面接調査と比較すると、実験調査5種の回答者は訪問面接調査回答者よりも、属性では「高学歴」、「専門・技術職」、「非正規社員」が多く、意識では「平等社会よりも競争社会を志向する」、「生活に対する不満、社会に対する不公平感や健康・収入・老後生活に対する不安感が強い」といった特徴が見られました。

Q:インターネット調査を訪問面接調査と比較して、訪問面接調査は正確?
A:今回比較対象とした訪問面接調査「勤労生活調査」は、調査対象者を住民基本台帳から無作為抽出しており、回収率も約7割と高いので、統計学的にかなり高い精度が期待できるという点が最大の強みです。しかし若い人や一人暮らしの人などをつかまえにくい、質問によっては調査員には率直に答えにくいといった面もあり、訪問面接調査にも限界があることは事実です。

Q:インターネット調査と訪問面接調査の結果に差が出る訳は?
A:いろいろな要因が考えられ、今回の調査研究だけでは断言できませんが、「回答者の属性・心理的特性の違い」(インターネット調査と訪問面接調査では回答者の"タイプ"が異なること)や「データ収集方法の違い」(同じ人が、インターネット調査と訪問面接調査では違う回答をする可能性があること)が大きく影響しているのではないかと推測しています。
  特に、インターネット/郵送、モニター公募/非公募という違いを超えて、5種類の「モニター型調査」に共通の特徴が見られたことから、「調査モニターになる人たち」にはリスクやチャンスに対する感度が高いといった何らかの共通の「心理的特性」があるのではないかと想像されますが、この点についてはさらに検証が必要です。

Q:インターネット調査はマーケティング・リサーチではよく使われているようですが、社会調査でも利用できる?
A:社会調査でインターネット調査を使う場合、調査の目的、調査対象、調査結果の利用方法・公表方法によって向き・不向きがありそうです。今回の調査研究結果を見る限り、少なくとも各職業・各学歴の人たちからまんべんなく情報を得る必要がある調査や高い水準の代表性が求められる調査には、インターネット調査は向かないといえると思います。
それ以外の場合でも、インターネット調査を利用する際には――他の調査法でもそうですが――、調査法の特性を織り込んで調査結果を利用・解釈することが必要です。そのためには今後、各種の調査法の特性についての情報が蓄積され、共有されていくことが望まれます。

※労働政策研究・研修機構(The Japan Institute for Labour Policy and Training)
略称をJIL(ジル)。
旧・労働省系のシンクタンク。旧称は、日本労働研究機構。1990年1月発足。
2003年10月、制度改変により独立行政法人となり、現在に至る。 
労働に関する調査研究を行っており、その成果は労働政策の立案に反映されている。各種の統計情報や調査報告書は中立的な立場から作成されており、信頼の置ける情報源の1つ。
定期刊行物としては『日本労働研究雑誌』を発行。「海外労働情報」では各国統計を収集している。
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