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させていただく

考え方
10 /11 2017
テレビから「させていただく」という言葉がしばしば聞こえてきます。
ニュースでキャスターが。記者会見で政治家が。街頭インタビューで一般の人が。その多くが間違った使い方では?と疑問を持っています。聞いていて気になるのです。違和感があるんです。
辞書では、「させていただく」=自分の行為や動作について「相手の許しのもとに行う」といった意味合いを持たせる、へりくだった言い方。謙譲表現の一種として補助動詞的に用いられる。とあります。例えば、工事を受注した側が、発注側に「工事をさせていただく」と言うのは両者の関係からも正しいのだと思います。
では、テレビを見ていて「えっ?」と感じるのはどのような場合か。ご存知、羽鳥慎一アナウンサー。丁寧で柔らかい語り口が人気のアナウンサーですが、新燃岳噴火のニュースの後「新しい情報が入りましたら随時お伝えさせていただきます」と言いました。いかがでしょう。その後、一言二言話した後再び「新しい情報が入りましたら随時お伝えします」と繰り返しました。ただし、二度目は「お伝えします」。たぶん「お伝えさせていただきます」と「お伝えします」を同じ意味で使っているのだと思います。しかし、このように使われては本来の「させていただく」が意味をなさない言葉になりそうで心配です。「~します」と言い換えてもおかしくない「させていただく」は、間違った使い方、と言っては言いすぎでしょうか。
日本列島を縦断した大型台風を伝えるニュースでも、リポーターが気になる表現をしていました。「九州熊本から関西、そして北陸へと取材をさせていただき~」。これも「取材をして~」で良いと思います。まさか、テレビ局に対して「仕事をさせていただきありがとうございます」と言っている訳ではないでしょう。続けて亡くなった被災者に向けて「~思いを込めて手を合わさせてもらいました」とリポートしました。「~手を合わせました」と言っても被災者に失礼では無いですし、言葉はシンプルに、シンプルに、を意識して簡単明瞭が大切だと思います。その方が伝えたい事が素直に分かりやすく伝わるからです。
「させていただく」ではないのですが、次のような気になるケースもありました。同時通訳を使って海外ニュースを速報する番組で、ドイツの選挙について「メルケル首相は政権を任されました」と通訳した後、「政権を任せられました」と言い直したのです。同時通訳ですから直感的に間違った!と感じ言い直したのだと思うのですが、「政権を任されました」で問題ない筈です。
話題の新党「希望の党」代表の小池百合子都知事。代表に就任したときの記者会見で「代表にならせていただいた小池百合子です」と挨拶していました。自ら結党した政党で、自ら代表になるのに、誰かの許しが必要とは思えませんし、へりくだった印象を与えたいのでしょうか。「代表になりました小池百合子です」と挨拶した方がすっきりした印象だと思います。
これは凄い使い方だなと思ったのは、経済番組の株式ニュースで証券会社の人が、アメリカの経済状況を受けて「私の方は~のように考えさせて頂いております」と話したのです。会社を代表してテレビに出演しているという緊張感から、丁寧に言わなければと思ったのでしょうが、日常的に「させていただく」を使っているのかも知れません。「私は~のように考えています」で良いと思います。
お彼岸のニュースでは、墓参りをした男性がインタビューに「お墓にお参りさせてもらいました」と答えていました。ご先祖様に許可を得て墓参り?テレビのインタビューに緊張していたのでしょう。「させていただく」という言葉が身の回りに氾濫しているからこそ、思わず出たのかも知れません。テレビから「させていただく」という言葉が頻繁に聞こえてくれば、多くの人が使うようになるのも無理はないと思います。テレビの普及とともに方言が廃れていったことを考えれば、仕方ないかも知れません。
これだけ皆が使っているのなら「させていただく」を「~する」「~します」と同じ意味、もしくは丁寧な表現として、使っても良いではないかという意見もあるでしょう。ただ、そのように認めてしまえば本来の「させていただく」という使い方はニュアンスが通じなくなります。大げさに言えば表現の多様性が損なわれます。
言葉へのテレビの影響は、ほかのメディアに比べて大きいと思います。かつてのテレビ局はNHKを筆頭に言葉の使い方にもっと意識が高かったと思います。日本語の在り方について、改めて考えてもらいたいと期待します。
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藤田智(FujitaSatoru)

㈱いちばん 代表取締役
http://www.ichi-ban.co.jp/

1958年東京生まれ。メディア・プロデューサー。テレビ番組、ビデオ、DVD、ホームページなど様々なメディアで動画の制作を手がけています。中でも中小企業をテーマにした映像を得意分野とし、業界では数少ない企業経営に詳しい製作者として取材・映像制作を積み重ねてきました。企業の現場にこだわり、現場で見つけてくる独自の視点と判りやすい表現は、高い評価を得ています。その動画作品の一部は中小企業基盤整備機構のホームページ上でも配信中。最近はインターネット分野へも、活動のフィールドを広げています。

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